はじめに
HYROXは、ランニングと複数の機能的エクササイズを組み合わせた競技です。初心者にとっては、種目の多さや強度の高さに戸惑うこともあるでしょう。しかし、適切なトレーニング計画を立てれば、無理なく完走を目指すことができます。この記事では、初心者が最短でHYROX完走を目指すためのトレーニングメソッドやスケジュール例を紹介します。
HYROXトレーニングの基本方針
ラン&筋トレのバランスがカギ
HYROXは1kmのラン×8回と8種の機能的エクササイズがセットになっています。つまり、
- 有酸素能力(ランニング)
- 筋力・筋持久力(ソリプッシュやウォールボールなど)
この2つをバランスよく強化する必要があります。ランばかりを重視しても、エクササイズパートで失速してしまいがちです。また、筋力ばかりに偏ると、1kmラン×8回の累積距離でペースダウンしてしまいます。
フォーム習得は早めに
スレッドプッシュやローイング、ウォールボールなどは、正しいフォームを身につけることで効率よく動けるだけでなく、ケガのリスクも減らせます。各種目の基本動作を早い段階で習得しておくことで、トレーニング効果が高まります。
徐々に強度を上げる
初心者の場合、いきなり高強度のトレーニングを行うとオーバートレーニングになりやすいです。少しずつ負荷を高めていくことで、身体を慣らし、ケガや挫折を防ぎましょう。
トレーニングスケジュール例(8週間)
以下に、初心者向けの8週間プログラムの例を示します。週3~4回を目安に継続し、無理なく進めてください。
フェーズ1(Week 1-2):基礎づくり
- 目的: 体を動かす習慣を作り、基本フォームを習得する
- 頻度: 週3回
回数 | 内容 | 目安時間/距離 |
---|---|---|
1回目 | ランニング(軽めのジョグ) | 20~30分または3~5km |
2回目 | 自重トレーニング(スクワット、プッシュアップなど)+ 各種目フォーム練習 | 各種目10~15回×2~3セット |
3回目 | ランニング(インターバル走)またはウォーキング+軽筋トレ | 20分~30分(走→歩の繰り返し) |
ポイント
- ランニングは無理に速く走らず、心地よいペースで。
- 自重トレーニングで身体づくりに集中し、HYROX種目(スキーエルゴやローイングマシンなど)を触れる環境があれば、フォーム練習を入れる。
フェーズ2(Week 3-5):強度アップ
- 目的: ランとエクササイズの両方に慣れ、持久力を底上げする
- 頻度: 週3~4回
回数 | 内容 | 目安時間/距離 |
---|---|---|
1回目 | ランニング(距離を少し延ばす)+ 軽い筋トレ | 30~40分または5~7km |
2回目 | HYROX種目練習(スキーエルゴ、ローイング等)をメインに | 各種目10~15回×3セット、休憩短めで回す |
3回目 | ラン&エクササイズのコンビネーショントレーニング | 1kmラン→バーピー10回×3セットなど |
4回目(任意) | リカバリージョグまたはウォーキング+ストレッチ | 20~30分程度 |
ポイント
- ランの合間にエクササイズを挟む練習を取り入れ、本番さながらの流れを体感する。
- 筋肉痛や疲労が強いときは、4回目はリカバリーに徹し、休む勇気も重要。
フェーズ3(Week 6-7):レースシミュレーション
- 目的: 本番を想定し、できるだけ実践に近い形で負荷をかける
- 頻度: 週4回程度
回数 | 内容 | 目安時間/距離 |
---|---|---|
1回目 | HYROXエクササイズ回し(1kmラン→種目×1→1kmラン→種目×1…) | 3~4周分を実施(合計3~4kmラン+3~4種目) |
2回目 | スタミナ強化のラン(やや長めのラン or インターバル) | 40分~60分、またはインターバル5~8本 |
3回目 | 弱点克服トレーニング(苦手種目のフォーム徹底、パワートレなど) | 種目別に10~20回×3セット。休憩短め |
4回目 | リカバリー&軽筋トレ(軽いジョグやウォーキング+コアトレ) | 20分~30分+プランク、ヒップリフト等 |
ポイント
- できるだけHYROXに近い形式で連続動作を行い、体力配分やフォーム崩れをチェック。
- 休息日も適切に設け、身体の回復を優先する。
フェーズ4(Week 8):調整期
- 目的: 仕上げと疲労回復で、レース本番にベストの状態を作る
- 頻度: 週3回
回数 | 内容 | 目安時間/距離 |
---|---|---|
1回目 | ラン+軽いエクササイズ確認 | 20~30分ラン+各種目少数回 |
2回目 | レストまたはリカバリー | ストレッチや軽いウォーク |
3回目 | ラン+最終チェック | 20分ラン+フォーム確認 |
ポイント
- ハードな練習は行わず、調整と疲労回復に重点を置く。
- ケガや体調不良に注意しながら、当日に万全の状態で臨むことを目標にする。
トレーニングを成功させるコツ
1. フォームを徹底的に学ぶ
特に初心者は、「ソリプッシュ」「ウォールボール」など、普段あまり馴染みのないエクササイズに苦戦しがちです。トレーナーや経験者にフォームを確認してもらい、動画を活用して研究しましょう。
2. 進捗記録でモチベーション維持
トレーニング日誌やアプリなどを使って、走った距離や完了したセット数、所要時間を記録すると達成感が得られます。数字の積み重ねがモチベーションアップにつながります。
3. 休養と栄養補給を怠らない
週に1~2日は完全休養日を設けたり、体が疲労しすぎていると感じた日は思い切って休むことも必要です。また、タンパク質や炭水化物のバランスを意識し、水分補給も十分に行いましょう。
4. 目標タイムをイメージしておく
ただ「完走する」だけでなく、「90分以内に完走」や「各種目は2分以内」など、具体的な目標を設定すると、練習の質が向上しやすくなります。
まとめ
初心者がHYROXを完走するためには、ランニングと機能的エクササイズの両面をバランスよく鍛えることが重要です。あらかじめ8週間程度のトレーニング計画を立てて、段階的に負荷を高めていけば、無理なくレース当日の完走を目指せます。
次の記事では、上級者向けにハイスコアを狙うためのスピード&パワー強化プログラムを紹介します。さらに上を目指したい方はぜひご覧ください。