はじめに
HYROXを一度完走した方や、他の耐久系・筋力系競技で実績を持つ方の次なる目標は、「ハイスコアを狙う」「タイムを短縮する」ことではないでしょうか?
本記事では、すでに基礎的な持久力・筋力が備わっている中級~上級者を対象に、さらなるパフォーマンスアップを目指すためのトレーニング法や戦略を紹介します。
1. 競技力向上の基本原則
1-1. スピード&パワーの強化が鍵!
HYROXでは、ラン×8回と8種目のエクササイズが交互に行われます。タイム短縮を図るには、
- ラン区間のスピードアップ
- エクササイズ種目の1回あたりの出力向上 & 回復力
が大きな鍵となります。ただ走り込むだけ、筋トレだけでは頭打ちになるため、スピードとパワーを同時に高めるトレーニングが必須となります。
1-2. フォームの最適化
上級者は、基礎的なフォームをすでに理解していますが、さらにフォームの微調整を行うことで、出力効率や疲労の度合いが大きく変わります。特に、
- ソリプッシュでの前傾角度と足幅
- バーピーブロードジャンプでの着地衝撃の吸収
- ローイングマシンでのパワー伝達(脚→体幹→腕)
などは、タイム短縮に直結しやすいポイントです。
2. インターバルトレーニングで心肺機能を高める
上級者がさらなる高みを目指すには、心肺機能の強化を図るインターバルトレーニングが効果的です。
短時間高強度の運動と休息を繰り返すことで、VO2max(最大酸素摂取量)を効率的に向上させ、レースペースでの酸素供給能力を高めます。
2-1. オススメのインターバルメニュー例
- 400mインターバル
– 400mを全力走→ 1分~90秒の軽ジョグまたは歩行を4~6本繰り返す。 - 1kmレピティション
– 1kmをレースペースよりやや速いペースで走り、2~3分の休息をはさみ3~5本。
これらのインターバルを週1~2回取り入れ、心拍数をしっかり上げる練習を行うことで、レース本番のラン区間で余裕が生まれます。
3. 筋力・パワー強化のためのウエイトトレーニング
3-1. 高負荷・低レップで爆発力を養う
上級者は、ある程度の筋持久力を備えています。そこでさらなる向上を目指すなら、高負荷・低回数のウエイトトレーニングを取り入れることで瞬発力やパワーを引き出します。
- スクワット(バックスクワット/フロントスクワット)
– 3~5回×3セットを高負荷で - デッドリフト
– 3~5回×3セット - オリンピックリフト(クリーン、スナッチ等)
– 神経系を刺激し、高出力の動きが身に付く
3-2. プライオメトリクスで爆発力アップ
- ボックスジャンプ
– 滞空時間の短縮を意識し、膝を柔らかく使って着地 - メディシンボールスロー
– 前方スローやショルダースローで上半身の爆発力を鍛える
プライオメトリクスは、バーピーブロードジャンプのような跳躍系種目にも直接役立ちます。
4. 苦手種目克服の戦略
上級者とはいえ、誰しも得意・不得意な種目があります。
HYROXをハイスコアでクリアするには、苦手種目を最小限のロスタイムで切り抜けることが重要です。
4-1. ソリプッシュ&プルでのパワーロス軽減
- フォーム動画撮影: 自分のフォームを動画で撮影し、前傾角や足の運び方を客観的にチェック。
- レッグプレスやヒップスラスト: 足腰のさらなる強化でソリプッシュの負荷を抑える。
- ローププル練習: スレッドプルは腕だけで引こうとせず、背中や体幹を総動員する意識。
4-2. バーピーブロードジャンプでの効率UP
- セット数の分割練習: 連続5~10回を短い休息で繰り返し、実戦さながらの負荷を体感。
- ランジやスクワットで下半身強化: バーピーに必要な瞬発力と脚力を同時に鍛える。
4-3. ローイングやスキーエルゴのテクニック向上
- パワーエンデュランス練習: 300~500mを全力で漕いで短い休憩、を複数回繰り返す。
- 効率的な力伝達: 腕ではなく脚→体幹→腕の連動を意識し、ロスを減らす。
5. レース直前の仕上げとメンタル戦略
5-1. テーパリングで最高の状態を作る
直前の数日~1週間はテーパリング(練習量の減少)を行い、筋肉と神経の疲労を回復させます。上級者の場合、短時間・高強度のメニューを少しだけ入れて、身体のキレを維持するのも効果的です。
5-2. メンタル強化で後半の粘りを生む
レース中盤から終盤にかけて、上級者でも苦しい時間帯が訪れます。そこで踏ん張れるかどうかは、メンタルトレーニングにかかっています。
- イメージトレーニング: 各種目をスムーズにこなす成功イメージを繰り返す。
- ポジティブセルフトーク: 辛い時に「まだ動ける」「あともう少し」など、自分を鼓舞する言葉を用意しておく。
6. 具体的トレーニングプラン例(週4~5回想定)
曜日 | 内容 | 目的 |
---|---|---|
月曜日 | インターバル走(400mや1kmインターバル) | 心肺機能強化/スピードアップ |
火曜日 | 高負荷ウエイトトレーニング(スクワット・DLなど) | 筋力・爆発力強化 |
水曜日 | レストor軽めの有酸素(ジョグ・スキル練習等) | 回復とフォーム調整 |
木曜日 | ハイブリッドトレーニング(1kmラン→ソリプッシュ→1kmラン…) | 実戦形式のパワー&持久力育成 |
金曜日 | プライオメトリクス(ボックスジャンプ・MBスロー等)+ コアトレ | 瞬発力と安定性 |
土日 | 休養または軽いアクティブレスト(ウォーキングやヨガ等) | 身体の回復/メンタルリセット |
※週末に大会がある場合は、2~3日前からテーパリングを始めるなど、柔軟に調整してください。
まとめ
上級者がHYROXでハイスコアを狙うためには、スピードとパワー強化が命!そのためのインターバルトレーニングや高負荷ウエイト、プライオメトリクスを取り入れつつ、苦手種目のテクニックを徹底的に磨くことが重要です。また、レース直前の調整やメンタル面のケアも見逃せないポイント。
これらを総合的に取り入れ、タイム短縮&自己ベスト更新を目指していきましょう。
次回は、HYROX当日の過ごし方やレース体験記から学ぶ実践レポートをお届けします。
より具体的な当日の流れや注意点に興味のある方は、ぜひそちらもご覧ください。